スイフトジーン® セレウリド産生セレウス「カイノス」の特徴
セレウリドを産生する生菌の遺伝子(mRNA)を検出
※キットは遺伝子の抽出・増幅・検出試薬を含みます
食材から直接遺伝子を検出、培養不要
※最小検出感度:104cfu/g(食品)
※菌接種試験で確認した食品:
米飯、チャーハン、おから、パスタ
抽出~検出まで約1時間、目視判定
増幅反応の成否をチェック
※インターナルコントロール(IC)ラインで確認します
セレウリド非産生セレウスは検出しません
外観・判定例
IC:インターナルコントロール
r:リファレンス(検出フローの確認)
ces: セレウリド産生セレウス検出 陽性
※ ces強度陽性の場合、ICラインは非常に薄くなる場合があります。
本製品の開発は、厚生労働省の「食品の安全確保推進研究事業」における「食品中の毒素産生食中毒細菌および毒素の直接試験法の研究」の分担研究として実施されました。
セレウスと食中毒
セレウス(Bacillus cereus)は、土壌や河川水、農産物、畜産物、食料、飼料など自然界に広く分布しているグラム陽性、通性嫌気性の桿菌であり、芽胞形成能を有した菌です。
セレウスによる食中毒は、その症状から「嘔吐型」と「下痢型」に大別されますが、日本におけるセレウス食中毒は「嘔吐型」がほとんどであり、その原因食品としては穀物およびその加工品(チャーハンやスパゲティなど)が最も多くなっています。
嘔吐型食中毒の原因となる菌株は、ces遺伝子を有するサブグループに属し、セレウリドと呼ばれる嘔吐毒を産生します。このセレウリド産生セレウス株による食中毒の発症菌量は、食品1gあたり105~108個です。
嘔吐型食中毒の主な症状は嘔吐で、潜伏期間30分~6時間で発症します。一般的に、経過良好で1~2日で回復しますが、まれに急性肝不全などで死亡する事例もあります。
スイフトジーン® セレウリド産生セレウス「カイノス」の測定原理
A.核酸抽出
界面活性剤と熱により検体中の菌体を破壊し、RNA を抽出します。
B.核酸増幅 NASBA法の原理について
- 核酸増幅法としては、NASBA (Nucleic Acid Sequence-Based Amplification) 法 を利用して、抽出した RNA 中のces mRNA を増幅します。
- ces mRNA に特異的な2種類のプライマーと 3 種類の酵素(逆転写酵素、リボヌクレアーゼH、RNAポリメラーゼ)を用いて、41 ℃ の一定温度下で、鋳型に相補的な 1 本鎖 RNA を増幅します。
- プライマー溶液には増幅反応の成否判定用としてインターナルコントロール(IC)のテンプレート及びプライマーが含まれており、検体中の ces mRNA の有無にかかわらず、同一チューブ内で IC の増幅反応が行われます。
C.核酸クロマトグラフィー
- ces ラインの検出
ces 増幅産物は、2種類のオリゴ DNA(着色ラテックス標識プローブおよびメンブレン固相プローブ)と配列特異的にサンドイッチハイブリダイゼーションすることで、クロマトストリップ上に青色ラインを形成します。このラインを目視で確認し、検体中のセレウリド産生セレウスの存在の有無を判定します。 - ICラインの検出
増幅反応の成否判定用である IC 増幅産物も、IC用の2種類のオリゴ DNA(着色ラテックス標識プローブおよびメンブレン固相プローブ)と配列特異的にサンドイッチハイブリダイゼーションすることで、クロマトストリップ上の ces の検出ラインとは異なる位置で青色ラインを形成します。
増幅反応が阻害された場合、IC と ces の両方のラインが検出されません。 - r ラインの検出
ラテラルフロー確認用である赤色ラテックス標識プローブは、メンブレン固相プローブと配列特異的に結合することで、クロマトストリップ上に赤色ラインを形成します。
ラテラルフローが正しく行われなかった場合、r のラインは検出されません。
試薬構成
品番 | 品名 | 包装 | 貯法 | |
---|---|---|---|---|
GP-6100 (抽出・増幅試薬) | 核酸抽出試液 | 4mL×1 | 20テスト | 2~10℃ |
NASBA試液 | 10回分×2 | |||
プライマー溶液 | 110μL×1 | |||
NASBA酵素試薬 | 10回分×2 | |||
NASBA酵素溶解液 | 60μL×1 | |||
反応用チューブ | 20本 | |||
GP-6200 (検出試薬) | 検出ストリップ | 1本×20 | 20テスト | 2~10℃ |
展開液 | 2mL×1 | |||
プレートシール | 20枚 |
キットの外観
使用方法
<1>食材試料の調製(10%乳剤)
ストマフィルターに食品 25 g と生理食塩水 225 mL を加え、ストマッカーで 1 分間処理します。
<2>核酸抽出前処理
ストマフィルターでろ過された10 % 乳剤 1 mL を 1.5 mL チューブに入れます。
1890 G 以上で 1 分間遠心し、100 μL 相当の沈殿分または液量を残します。
<3>核酸抽出
核酸抽出試薬 200 μ Lを加えます。
ボルテックスミキサーで 10 秒間混和して、沈殿物を十分に分散させます。
ヒートブロック(90℃)で 5 分間 加熱します。
ボルテックスミキサーで 5 秒間混和した後、1890 G 以上で 10 秒間遠心し氷上に静置します。(核酸抽出物)
<4>NASBA増幅
NASBA反応溶液:NASBA 試薬 1 チューブにプライマー溶液を 55 μL 加え、直ちにボルテックスミキサーにて十分に溶解します。
付属の反応用チューブに NASBA 反応溶液を 5 μL 分注します。
<2>で得られた核酸抽出物 2.5 μL を 3) のチューブに分注します。分注後、10 回ピペッティングし、軽く遠心します。
ヒートブロック(41℃)で 5 分間加温します。なお、この保温中に NASBA 酵素液を調製してください。
NASBA酵素液:NASBA 酵素試薬に NASBA 酵素溶解液 30 μL を加え、10 秒程度待ってからタッピングにより、溶解します。
ヒートブロック(41℃)上でチューブ内の反応液に、直接 NASBA 酵素液を 2.5 μL 添加し、5 回ピペッティングして混合します。
ヒートブロック(41℃)で30 分間 加温します。
<5>核酸クロマト検出
増幅反応終了後のチューブに、展開液を 3 滴 滴下してください。
チューブに検出ストリップを入れます。
チューブに検出ストリップを入れてから 15 分後に結果を判定してください。