はじめに
ADAMTS13 (a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13) は、止血因子であるVWF (von Willebrand factor) のA2ドメインに存在するアミノ酸残基Tyr1605-Met1606間のペプチド結合を特異的に切断する因子です。
臨床的意義
VWFは主に血管内皮細胞で産生され、ジスルフィド結合でC末端同士が連結された超高分子量VWF重合体 (unusually large VWF multimer, UL-VWFM) として血中に放出されます。UL-VWFMは細小動脈血管内腔で伸展し、強力な血小板凝集を引き起こします。ADAMTS13はVWFを切断することにより、UL-VWFMの分子サイズを減らし、血小板との結合能を調節しています。ADAMTS13活性が著減することによってVWFが切断されず、末梢細動脈等で過剰な血小板凝集を生じて、血栓となることで血栓性血小板減少性紫斑病 (thrombotic thrombocytopenic purpura, TTP) を発症することが明らかとなりました。
参考: 難病情報センター 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
特徴
- ・特異的ADAMTS13により切断されたVWF断端を特異的に認識するモノクローナル抗体を使用
- ・高感度最小検出感度0.5% (正常検体を100%(=1 IU/mL)とした場合)
- ・トレーサブル較正用の基準物質にWHO 1st International Standard ADAMTS13 Plasma, 12/252を使用
反応原理
本製品は固相サンドイッチELISAです。
- 固相されている抗GSTマウスモノクローナル抗体が、GST-VWF73と特異的に反応します。
- 試料中のADAMTS13が、VWF73を切断します。
- HRP標識抗N10マウスモノクローナル抗体が、ADAMTS13により切断されたVWF断片と特異的に反応し、サンドイッチ複合体を形成します。
- TMBZと尿素過酸化水素が、プレート上のサンドイッチ複合体のHRPと反応します。生成される発色体の吸光度を測定します。
試薬構成
品番 | 品名 | 包装 | 貯蔵方法 | |
---|---|---|---|---|
CY-6000 | ADAMTS13-act ELISA「カイノス」 | (96テスト) | 2~10℃ | |
1. | 抗体固相プレート | 96ウェル×1 | ||
2. | VWF73基質 | 6mL用×2 | ||
3. | 反応用緩衝液 | 30mL×1 | ||
4. | 酵素標識抗体液 | 12mL×1 | ||
5. | 発色液 | 12mL×1 | ||
6. | 洗浄原液 | 53mL×1 | ||
7. | 反応停止液 | 12mL×1 | ||
8. | ADAMTS13キャリブレータ | |||
ADAMTS13 CAL1 | 0.5mL用×1 | |||
ADAMTS13 CAL2 | 0.5mL用×1 | |||
ADAMTS13 CAL3 | 0.5mL用×1 | |||
ADAMTS13 CAL4 | 0.5mL用×1 | |||
ADAMTS13 CAL5 | 0.5mL用×1 | |||
ADAMTS13 CAL6 | 0.5mL用×1 | |||
付属品1) | 希釈用プレート | 96ウェル×1 | ||
付属品2) | プレートシール | 3枚 |
操作方法